daniel-yangのブログ

メインブログ「受動態」(読書感想文ブログ)とは異なる内容を気まぐれで記します。

標準語のありがたみ

「もっと方言を大切にしよう。」
と耳にすることはあるのですが、
「標準語を大切にしよう。」
と聞く機会は少ないように思います。

 

僕は最近
「標準語ってありがたいなぁ。」
と、つくづく思うので、日記に記します。

 

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僕はサラリーマンです。勤務する会社は東京の外れに設計・営業部門を持ち、高知県に工場があるB to Bの電子部品メーカーです。
学校を卒業し、就職して以来、東京の事業所勤務だったのですが、このたび工場勤務を命じられ、転勤しました。
引っ越してきてそろそろ三カ月が経ちます。
東京の事業所と高知の工場とでは、ある程度人の交流(組織変更に伴う異動など)で、それぞれある程度の割合で、東京の事業所に高知工場採用の人、高知工場に東京採用の人がいるのですが、それでも東京の事業所では圧倒的に東京の人(と、言うか、全国から集まってきた人)が多く、高知の工場では高知県出身の人が多いです。
そこで日中仕事をしている職場では、土佐弁が話されます。

 

土佐弁ってどんなんなん?
と言う方には、
か、
ジブリのアニメ
「海が聞こえる」
Twitterをたしなむ方には、
がお勧めです。

 

カツオ人間のツイートは、先月の高知県観光キャンペーン「高知家」のキャンペーンソング歌詞募集のキャンペーンでのツイートが面白かったです。

 

 

 

 

 

wikipediaで解説されている土佐弁の特徴
二重母音の丁寧な表現
例:「計算」を「けーさん」と言わず、「けいさん」と言う
や、
助詞によらないアスペクト
進行形「やりゆう」
完了形「やっちゅう」
の区別などが、使われていて、「なるほど」と思う次第です。

 

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僕は東京勤務時代には高知の工場での試作スケジュールの調整を業務としていたので、比較的土佐弁には慣れていたつもりで引っ越して来ました。
でも、電話では、工場の方は「東京に電話する。」ことを意識して標準語を話すし、僕も丁寧に話すことを心がけていたので、現地とはだいぶ違う事に気が付きました。
ちなみに、工場には世界のマザー工場の機能があります。マザー工場の機能として、海外に英文で指示を出します。僕が電話で伝える内容は、工場の方経由で海外の工場に指示をしてもらう内容も含みます。ですので僕は、会話にしろ、メールにしろ、
「外国語に翻訳しやすいよう」
心がけて、いわゆるハイコンテクスト(ツーカー表現(※)文化に頼らないよう、気をつけていました。
(※)ハイコンテクスト(つーかー表現が通じる)文化に頼る、
「対応して」とか
「やっといて」とか
「チェックして」など。
具体的でない指示は、それでもツーカーの仲では通じる部署があります。普段同じ部署の人としか会話する機会がない人が、たまに他部署の人と話すと通じなくなる現象がまれに見受けられますが、これは、ハイコンテクストに頼った(つーかー表現が通じる)文化で普段過ごしている方が、その文化圏外に出て異文化と接しているにも関わらず、異文化に接していると言う意識が無いときに起こる現象です。

 

ツーカーでない場合には
ローコンテクスト(つーかー表現が通じない)コミュニケーションが必要であることを意識し、具体的に指示することが必要です。
「お客様の話を聞いて、とりあえず謝ってください。そして、お客様の要望を聞いて、社内に伝えてください。」とか
「自分で道具を準備して、ガラスのカットを図面通りに仕上げ、出来たら梱包してください。発送の準備が出来たら声をかけてください。」とか、
「図面の公差を計算して、最悪の場合でも最外形がお客様の要求寸法を上回らない設計になっていることを確認してください。もしお客様の要求寸法を上回る個所が見つかった場合には、どの寸法を変更することが、効率よい設計変更になるか考えて提案してください。」
と。
ただし、ハイコンテクスト表現が通じない時、伝える側が
「ローコンテクスト表現をしなくては。」
と考えるかどうかは立場によります。
自分の立場が強いときには、相手に向かって
「そんな、噛み砕いた説明しなきゃわからないのかよ。バカ。」
と言って、それが通用する場合もあります。
新入社員は、結構これで苦労します。本当は伝える側に問題があり、ローコンテクストに切り替えるべきだと思うのですが……。そうすれば、新人のみならず、転勤してきた人にもやさしく、変化にも強い、しかも自分が転勤して職種変更されたときにもすばやく業務をこなせるような効率のよい、会社になると思うのですが……。僕が社長だったら、新入社員や、他の事業所から転勤してきた人、他の部署から異動して職種が変わった人に対して、新しい部署内でのつーかー表現がわからないと訴えた時にバカにしてしまうような人を管理職に就かせません。でも、僕は社長で無いし、立場の強い人に、「お前の言ってることはわからないんだよ。」と言える立場でもありません。あろうことか、平社員でございます>俺。

 

海外の工場への指示の場合「工場のバカ」と言って済ますことが出来ません。指示する人は、指示した作業がなされて、モノが完成するところまでが責任範囲ですので。
と、言うわけで、海外とのやり取りがある人や、現場に指示を出す機会が多い人は、世界中のどんな人ともコミュニケーションが出来る能力を身につけている人が多いようです。
逆に、社内のみで力を発揮して出世し、立場が強くなった人は、永遠にローコンテクスト表現を身につける機会がなく、
「わかりづらい人」
と陰口をたたかれながらも、周囲を見下したままサラリーマン人生を終える事ができるのではないかと思います。

 

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再び閑話休題(-_-;)
と、言うわけで、僕にとって土佐弁は
「仕事での会話」
です。
帰宅し、標準語のテレビドラマやニュースを聞くと、ほっと一息つく事が出来ます。

 

さて、本題です。
僕は、だいぶ土佐弁には慣れたつもりです。でも、中途半端に”なんちゃって土佐弁”を話すと、奇妙な感じになるような気がします。そこで標準語で喋っています。ときどき、インチキ土佐弁が混ざるようになったようで、だいぶエキセントリックになりつつあるようですが。

 

仕事上のでの会話は、
周囲の人=土佐弁で話す。
僕=土佐弁を聞いて理解する。

 

僕=標準語で話す。
周囲の人=標準語を聞いて理解する。
というような感じです。

 

以前テレビで「親の遺言で英語を話すことが出来ない。」というレポーターが、日本語が堪能な外人タレントを取材ていたのを視聴した記憶があります。
外人タレントが
「英語がわかるんですか!」
と嬉々として英語で話し出しました。
すると、レポーターは
「うん、うん、」
とうなずきながら、日本語で対応していました。
外人タレントは、日本語を聞いて理解し、英語で話します。
奇妙な会話でしたが、

 

今の僕は、職場では、土佐弁と標準語で、上記同様のコミュニケーションをとっています。

 

ここで、ふと思うのは、
「もし標準語がなかったら。」
と言うことです。
標準語がなければ、僕は出身地の南西関東の方言でしか理解できず、
土佐弁文化圏になじむまでに相当の苦労をしたでしょう。

 

そう考えると、つくづく
「標準語ってありがたいなぁ。」
と思う次第です。

 

ちなみに、雑談が盛り上がった際に、つい僕のお国訛り(神奈川県なまり)で、
「そうじゃん。やっぱ、使い終わった道具は次の人が使いやすいように片付けとかなきゃダメじゃんか。」
と言ったところ、雑談の場がしばらく凍りつき
「え? 今の何?」
みたいになりました。
僕も、
「あ、しまった。」
と思い
「そうですよね。やはり使い終わった道具は、次の人が使いやすいように片付けておかねばなりませんね。」
と標準語で言いなおしました。

 

そして、「標準語」「標準語」と心がけているうちに、
「かたじけないです。」
とか
「左様です。」
とか、
標準語ではなく、時代劇のセリフになっている模様です。