daniel-yangのブログ

メインブログ「受動態」(読書感想文ブログ)とは異なる内容を気まぐれで記します。

友達が減っていくのが、大人の証

市町村が主宰する成人式への参加率が上がっているそうです。

 

日経ビジネスオンラインの人気コラム:小田嶋隆の「ア・ピース・オブ・警句」の記事
が話題になっているようなので、便乗します。

 

便乗しようと、書き始めた途端に、自ら話題をそらして、二つも日記を書いてしまいましたが、
こんどこそ、この話題について書きます。

 

小田嶋さんのコラムは、
「人間関係を大切しなければ、と気にしすぎる必要は無いよ。大人になれば友達がいなくても良いのだから。」
と言う程度の理解で良いと思います。

 

これに関連して、二件記憶にある記事を紹介します。
一つは、正月の大瀧詠一死去に際しての田中俊英氏(一般社団法人officeドーナツトーク代表)のコラム
です。
団塊世代は、各々の個人的探求を追求してくことが、社会全体の幸福に寄与しているという確信があるように感じられる。
A LONG VACATION

A LONG VACATION

 
を発表したころの世相を解説しています。
一方、現代の若者たちについては、
1人ひとりは孤独だが、階級的に同じスモールサークルのなかではプチ幸福を感じられる。それが、現在、団塊ジュニアより下の、階級社会の中でのエートスのように僕には思える。
と分析しています。
この指摘は、今のオッサン世代が若い頃に所属していたスモールサークル(友人関係)と、今の若い世代のスモールサークルが、ずいぶんと異なる意味を持っていると言うことです。
今のオッサン世代にとっては、スモールサークルから離れることが、より大きな社会の一員として成長する事を意味し、よって友達が減ることが、大人の証になったのでしょう。
一方現代の若い世代にとっては、スモールサークルから離れても、より大きな社会の一員として受け入れられる事が期待できない=階級社会が形成されているのではないかと不安に思えるのかも。と推測しました。

 

もう一つは、サイエンスライター森健氏の著書
ビッグデータ社会の希望と憂鬱 (河出文庫)

ビッグデータ社会の希望と憂鬱 (河出文庫)

 
です。

 

第4章:ウェブの進化が民主主義を衰退させる
の文庫版【追記】で、この問題を論じています。
若者の生きづらさを緩和するために、家族のような「強い紐帯」よりも「知り合い関係」といった弱い関係性(紐帯)を多く持つことが重要だと提唱した米スタンダード大のマーク・グラノヴェッター教授の指摘が、実は逆に若年層を縛っている
との指摘です。
小田嶋氏がア・ピース・オブ・警句で指摘しているのは、まさに、この「若年層を縛っている」具体例だと思いました。
ただし「では、どうすれば良いか」と考えたときに団塊世代の若い頃の状況が参考にならないので、議論が生まれるのだと思います。

 

弱い関係性が重要だと言ったグラノヴェッターは、家族からの独立を促していたのだと思います。
が、現代は弱い関係性が単に家族を置き換えたものになってしまっているようです。

 

団塊世代も「モナトリアム世代」として、なかなか独り立ちして大人にならない事を指摘されていましたが、この時の指摘は、家族にも、仲間関係にも依存しない一人の大人として、独立独歩出来る強さを身に付けるように促されていたように感じます。
この指摘は、今の若年層にも当てはまるのですが、それでは、家族や仲間から離れたときに、大きな社会に受け入れられるか。その確証が得られない不安が今の問題なのだと思います。

 

僕が言いたいのは、小田嶋氏のコラムで
人間が大人になって、友だちと縁が薄くなるのは、淋しいことだ。
 が、一人になってはじめて、自分のアタマでものが考えられるということもある。
に付け加える事です。
(一流のコラム作家に付け加えるのは、とても勇気がいるのですが(^_^;))

 

職場では、仲間意識がなくても良いです。
単に「ちゃんと仕事をこなす」よう心がけていれば、それで職場には受け入れられます。
「ちゃんと仕事をこなす」
と言うのは、
自分の仕事をきっちりこなす事に加えて、
・ 自分の仕事を受け渡す相手(下流)が、仕事をしやすいように気を使う。
とか、
・ 自分の仕事がやりやすいように、上流(前工程の人や、指令を伝える上司)に、提案などのフィードバックをする。
です。
仕事が終わった後に、飲みに行くとか、
休日にゴルフに付き合う
などはまったく不要です。
悩みの相談とか、愚痴を聞くことも不要です。
仕事の時間以外のつき合いを断ったり、プライベートの愚痴を聞き流したことで、なにか意地悪をされるようでしたら、悪いのは意地悪をする人です。

 

要は、友人が必要とか不要とか言うよりも、職場での人間関係に友人関係は不要だと言うことです。
仕事をちゃんとこなすような気遣いは、チームワークのテクニックであり、これは友人関係とは少々違うことです。
チームワークのテクニックを考えていない管理職が、その補完方法として、飲みに行くとか、ゴルフに付き合うとか、悩みの相談を受けるとか、仕事以外の(効率の悪い)手法に頼っていた過去は遠い昔の事です。現代に至って、チームワークの形成のために友情を育むように要請している職場があるとすれば、その職場が間違っています。

 

チームワークの基本は、
・ 正確な伝達;わかりやすい言葉で、相手が理解していることを確認しながら伝える
・ 自分の前後の行程を理解するように心がけ、自分の仕事がやりやすくなるように、また前後の行程も仕事がやりやすくなるように気遣う。

 

これを心がけていれば、職場に友人関係を持ち込む事は不要です。
仕事が終わったら、存分に自分の好きなように過ごしましょう。
友達と遊びに行くのも良いですし、独りで好きなことをしていても、
さらに言えば、友達がいなくて、退屈していたとしても、
誰にも文句を言われる筋合いはありません。
仕事以外の時間に自分がしていることにケチをつけるやつがいれば、そんなヤツはスットコドッコイです。

 

今年もみんなが愉快な一年となることを願ってます。

 

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続編を記しました。