daniel-yangのブログ

メインブログ「受動態」(読書感想文ブログ)とは異なる内容を気まぐれで記します。

再現が思わしくないなら、そこにイノベーションが隠れているかも!です。

本日は会見の話題が一杯でしたが、

【速報】「STAP現象は何度も確認されている真実です」小保方晴子氏が会見

会見の内容なんて、あらかじめわかっているのだから、何か出来ること考えませんか?

と言うことで、考えてみました。

 

思い出しました。

「再現実験が思わしくない場合、その上手く再現できない理由の中にイノベーションがあるかも。」

です。

 

幸い、香港の中華大学(?て訳すの?)李教授の再現失敗SNSが公開されています。

http:// http://www.researchgate.net/publication/259984904_Stimulus-triggered_fate_conversion_of_somatic_cells_into_pluripotency/reviews/103#533a9631d2fd64c2258b45c2

 

一生懸命再現実験を頑張るのもひとつの方法だと思いますが、

出来れば、再現実験に失敗した人の手法をよく吟味して、

「何が、違うのか?」

を、考えることで、思いも依らぬイノベーションがあるかもしれない。

と思いましたので、僕は学士でおこがましいですが、提案する次第です。

 

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架空の友人から聞いた話しなんですが、 

 

彼も再現実験の結果が思わしくなくて悩んでいた時期があったんです。 

 

彼を仮にMとします。Mは工場のエンジニアです。 

Mは、他の工程に比べて手作業が多い工程の自動化をテーマにして取り組んでいました。 

その行程は、次の加工工程で使う保護膜の塗布。

当時は手作業で塗っていたのだそうです。

何故なら、単純な印刷機で塗布すると、むらになって、使い物にならないから。

あらかじめ流れてくる基板の帯電状態をしらべて、それに合わせて保護膜の塗布量を決めるとうまく行く。 

と言うことはそれまでにわかっていて、みんなもそれを知っていました。

 

でも、基板の帯電状態を調べる適当なセンサーが無く、
工程の熟練工がカンを頼りに塗る方が、
歩留まりが良く、高品質で出来るから。
今まで、手作業になっていたのだとか。
 

先ず、Mはセンサーの感度を調べました。

塗布むらを防止するために必要な感度が充分に備わっていることを知りました。
「センサーの感度が充分なのに、塗布量を決めるためには充分に正確な測定が出来ない。」
一見矛盾する、その理由はノイズにある、とMは踏みました。
そして、ノイズ除去する方法を考えました。

 

具体的には、
Mは、ノイズがベースラインの物理的ながたつきにある、と仮説を立てました。
帯電量の分布範囲はわかっています。
だから、帯電量の分布範囲以上のバラツキを誤差と考えて、
先ず帯電量の分布範囲を平均して、残りをノイズとして、関数で表し、測定値から引けば、
「残りは、帯電量じゃん!」
と少々力業的に算出する方法を考案しました。
平均化する方法は、理系の学校を出た者なら誰でも実験科目で経験済みのガウスの最小自乗法です。
「使える技術は使わなきゃ。」
と、久々に教科書を見ながら、式を作りました。
近似式は、(複雑になれば、なるほど計算が大変ですが)五元四次方程式と移動平均を組み合わせたそうです。
僕が学生の頃は、手計算で、二次方程式の近似を四苦八苦して解いていましたが、二次方程式を近似式にした場合、各定数の解は、3×3のスカラー積の分数になります。)今はエクセルでも(ソルバーとか使って)十数秒で計算できるんだそうです。計算機の発達ってホント、技術者の寿命を延ばしたよね(笑)
で、やってみたら、うまく行って、おおよそこれで自動化出来そうだと踏んだそうです。

 

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上司に報告したところ
「それは、凄い成果だ。」
と評価されました。
上司は、重役に報告し、重役は親会社に報告し、
親会社は、タイミング良くお得意先から打診された試作があり、
「早速応用する。 」予算付ける。日程決まった。絶対失敗するな。出荷しろ。
と、とんとん拍子で話しが進んだんだそうです。
 
Mも、珍しく高い評価を得て、嬉しかったそうです。

 

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ですが、いざスケジュールが決まって、M考案のセンサー(の数値処理)と、それに見合う塗布装置を導入したんだけれど、おおよそ二〇〇個に一個の割合で、不良品が出るそうです。
「ま、いいか。」
と言う場合もあるので、親会社経由で、顧客に確認してもらいました。
回答は、
「1/200でウェハーが全滅するなんて、とんでもない! ダメ!」
と、だめ出しされたそうです。

 

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「なんで、再現しない基板があるのだろう。」
「やっぱり、力業でノイズを取り除く事に無理があったのかな。」
「これで、失注したら、俺の責任だろうな。」
「親会社にも怒られて、重役も不機嫌になるんだろうな。」
と、いろいろ気が重い状態になったのですが、致し方なく、そのときは
「ゴメンナサイ。」
と謝りました。
熟練技師に頑張ってもらい、従来通りの手作業で(工賃を考えると赤字なんですが)出荷したそうです。

 

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Mが心配したほど、職場の人は冷たくなく、しばらく放っておかれたような状態になりました。

 

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そこで、出荷した後の暇な時間を使って、再現しない状態の基板を集めて、
「なんで、再現しないんだ。」
と吟味したそうです。

 

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すると、再現しないものの帯電分布に特徴がある事がわかりました。Mの方法では、ノイズとして除去してしまう大きさの帯電があったのでした。そして、それを画像化することに成功しました。

 

その画像を眺めていると、
「なんかに似ているな。」
とMは気が付きました。

 

滅多に行かない、前工程を見学させてもらい、ついでに、その前の工程も見せてもらい、暇だからと、最初の工程まで歩きながら見せてもらいました。
そこにありました。
なんと、彼の三つ前の工程の搬送ロボットが掴む指の置き場と一緒でした。 

 

指の材料を聴くと、帯電防止ゴムと言うことですが、基板に対しては、電荷を与えやすい物質であることは、化学が専門のMには一目瞭然。
「これか。」
と、ロボットの指に、逆性のセラミック指サックを被せて、流してみた所、不良が無くなったそうです。

 

この1/200の帯電基板は、実はMの後工程、最終品質検査で不良品と落とされる原因にもなっていた事も、後に判明しました。

 

M考案の帯電量測定システムと自動塗布装置が立ち上げられただけでなく、今まで原因不明の不良として捨てていた分の歩留まりも向上したそうです。

 

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と、言う話しを思い出しましたので、僕は学士であり、おこがましいですが、理研のみなさんには、再現実験される際には、是非とも、再現実験に失敗した人の実験手法をよーく聴いて、小保方さんが実験した時との違いを吟味してみると、そこに何かの(今、気が付いていない素晴らしい)イノベーションが発見できるかも知れぬ。と思い、提案する次第です。

 

それでは、またね。