4-3. 政府が対処のために労働者に強制労働を課し、堤防の構築など過酷な現場に送り込み始めると、新聞は強制労働の必要性と、それが正義であることを報じました。いわゆる御用記事を書き始めたワケです。
4-4. 強制労働に駆り出された労働者が大勢帰らぬ人になっているにもかかわらず、新聞は洪水が原因であることを告げずに、単に行方不明があることを報じるだけでした。
僕は中学生の時には新聞を信用していました。そこで、授業でこの小説が取り上げられた際に先生に質問をしました。「何故、新聞を信用できないモノとして批判しているのか?」と。
すると、先生が解説してくれました。
これは、第二次世界大戦中の新聞が、敗戦が色濃くなりつつある状況を取り繕って発表された軍部の「大本営発表」をそのまま記事にするに留まらず、架空の武勇伝(日本刀で敵市民を百人斬りとか)をねつ造し、国民を戦争に熱狂させ、政治家の講和への取り組みを妨げた事た反省しているのだ。
と。
もし、みなさまの国語担当の先生が、昨今の新聞の報道に批判的ならば、「現代にも通用する教訓である。」と感想文を締めくくっても良いですし、
もし、みなさまの国語担当の先生が、今でも新聞の信奉者であれば、「昔の新聞は、間違った報道をしていた。」との感想に留めておくのが良いでしょう。
もし、現代の報道に絡めて感想を書くのであれば、例えば原子力発電所の事故で、子供の被曝が防ぐことが出来た、との政府の統計発表を元に、「結果はよくわからない。原発事故の影響でガンが増加している」と思わせる記事を発表した新聞を批判したり
(参照「甲状腺被曝被害は防げたようですね? - daniel-yangのブログ)
メルトダウンと言う言葉を使って、不安を煽る報道を批判しても良いかも知れません。
(参考「「偏差値」と「メルトダウン」は似ている。 - daniel-yangのブログ)
5.文体の不一致を指摘する。
時々体言止めを用いている他は、この小説は常体(~である。~だった。)で書かれていますが、一箇所だけ敬体(ですます調)にしている箇所があります。
4段落めの末尾
「翌日、彼は世界に向かって大洪水の到来を予言しました。」
です。
素人が書いた文章ではありませんから、もちろん著者が意図しているはずです。
僕が思うに、短い短編のなかで、読者に一区切り間をおかせるリズムとしての効果を期待しているのでは無いかと思います。
ここまでは、一人の哲学者が宇宙の法則をさぐるための天体観測を描写していますが、この後は洪水に巻き込まれる世界の描写に切り替わります。
「シーンの移り変わりを短い小説の中で効果的に演出していると思います。」
というような感じで指摘すると、良い評価が得られるかも知れません。
それでは、残り少ない夏休みを有意義にお過ごし下さりませ。