daniel-yangのブログ

メインブログ「受動態」(読書感想文ブログ)とは異なる内容を気まぐれで記します。

彼女は頭が悪いから/姫野カオルコ 著 を読みました。2

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photo by Daniel Yang 2017/12/2
PENTAX K-x 30mm, 1/100秒 f/11.0
彼女は頭が悪いから

彼女は頭が悪いから

 
随分話題になっているようですのであやかるべく。当ブログの本体読書感想文ブログ↓の続編を書きます。(ここ=「daniel-yangのブログ」は、読書感想文以外の雑記目的の副ブログです。)
ちなみに、上に貼り付けたamazonの読者レビューにも「楊」の名で記しています。他のレビュアーの方のと合わせて、これから読む方はご参考にして頂ければ幸です。
また、読み終えているかたは、読み終えた者同士で語り合うときのネタ帳としてご活用頂ければ、喜びます。
 
ここでは、今まで感想を記した際に、書き漏らしたもの、読み終えた後、気になったことをかいつまんで記します。
目次
  1. 加害者はサイコパスか。教養教育は有効か。
  2. 期待の息子への母親の接し方。
  3. 私立理系は学費の安さ順に偏差値が高い、
  4. ネットレビューではくそリプについてコメントしづらい。
  5. 量刑は難しい。
 

1. 加害者はサイコパスか。教養教育は有効か。

別件で「サイキック」と「サイコパス」の言葉の意味を調べました。
対句になっているけれど それぞれ全然別の意味でした。
そこで、この小説を思い出し、加害者5人はサイコパスかも。と、思いました。
ちなみに、このエントリーを書いている今は、日付が変わって20分過ぎ。聞いている音楽は、
です。
検索で雑に勉強したところ、僕の理解は下記の通り。
サイコパス=人の痛みが分からずに向こう見ずの行動が取れる病気の人。 
以前見たテレビ番組で
サイコパスは、健常者と明確に区別できるものではなく、程度も様々。
 言うなれば「サイコパス度」のような程度区分けが必要。」
と聞いた覚えがあります。
5人は、サイコパスと言うよりは、他者を認知する能力が未発達な子供、と理解するべきかな、と思いました。
被害者に対して、平素から見下すネタを集めて心に留めているようなつばさの認識パターンは、発達途上にあると思います。
駅で軽く化粧直しをしているのを見かけて”非常識な人”といずれ他人に説明するときのネタとして脳内記録しているようなエピソードも盛り込まれていました。
「忙しかったのかな。急かしちゃったかな。」
と自分の言動改善ネタとしては、決して活用しません。
彼らだけに限らず、大人になっても、年寄りになっても、この性格が直らない人は多々います。

治療が難しいなら、教養教育が有効では?

と、言うわけで五人に対して精神医療的な治療を施すよりは、別の教育が有効なのだろうな。と考えたところで思い出したのは、ここ
テロを実行したカルト教団への参加者に名を連ね、ついにはトンデモ総理大臣まで輩出してしまった理系の最高峰が、対策として(と僕は聴いたわけではないですが)力を入れている
例えば、こういう教育が必要だったのでは、と思います。
が、しかし五人の場合は、親の影響からは逃れられず、学校が施す対策では有効打が打てないかも、と思いました。

2. 期待の息子への母親の接し方。

親が悪い。と僕は読んで思いました。
まともな親ならば、期待が持てる息子を応援するのではなく、手綱を締めるべきです。
と、言うわけで、僕の知人のうち「さぞかし、親が将来を期待しただろうな。」と思われる偏差値高い高校、大学に通った人に「親はどうだった?」と聞いてみました。
曰く、就職先や、結婚相手を吟味する親は皆無でした。
「他人に迷惑掛けるな。」
「ずるをするな。」
「彼女を邪険に扱うな。」
と、言うような、ことを言われたそうです。
つまりは
「人に恨まれないようにしろ」
と言われていた人が多かったようです。
なるほど、息子が優秀ならば、応援せずとも、まともな人生を送ることが期待できるわけです。
それよりも天狗になって、無茶をすることを避けるように促すのが得策と言うわけです。
なるほど。

3. 私立理系は学費の安さ順に偏差値が高い、

小説の本題とはさほど関係ないですが、理系の大学進学にあたり、僕が親に相談したのはただ一つ。次の三択です。
「現役で、自宅から通える国公立の大学には、進学できる見込みがありません。」
「では、僕は、一浪をして通える国公立を目指すべきでしょうか。」
「又は、現役で受かる、通えない国公立を探しましょうか。」
「現役で自宅から通える私立で良いでしょうか。」
進学にあたり、僕が母親に相談したのは、これだけでした。
で、
「私立で良いから、現役で進学しろ。自宅から通える学校を受験せよ。」
と選択してもらい、今に至ります。
 
「理系は授業料が高い。」
と、兄弟の手前、通える私立理系の学校を調べたら、見事に学費の安い順に偏差値が高くて面白かったです。
東京理科大は、私立理系ではべらぼーに授業料が安かった。
初年度百万円を超える授業料が必要な学校が多い中、当時の理科大は七十万円前後でした。
そして偏差値は六大学のトップと同じくらい。
 
「んなら、国公立に受かるじゃん。」
と言うわけで、
その次は(当時は)中央大学理工学部と、東京電機大学工学部の二つが続きました。
中央大学理工学部も相当偏差値高いんですが理科大ほどではありませんでした。
東京電機大学は、文系の人にはなじみがないかもですが(当時の偏差値は六大学では法政工学部と同じくらいでした。小金井はうちから遠かったので候補に挙げませんでした。)授業料は安く、よく比較される武蔵工業大学(現東京都市大学)、芝浦工業大学工学院大学を加えて東京4理工、千葉工大なども合わせて考慮しても、
「授業料と偏差値の割合に、就職先が良いらしい。」
と噂されていました。
現状は、下記サイトの記事が面白かったです。
あとは神奈川大学工学部も、当時の僕の実家から通える中では授業料が安い工学部でした。
ちなみに、理系の大学の授業料が安いところは、ある程度の歴史があり、新規設備の導入が少なくて済んでいるところです。
なので、授業料が馬鹿高い(新しい学校で設備導入の要が多い)ところに比べても、授業の内容も心配には及ばないと考えられました。
授業、と言うよりは、職人芸養成所みたいなのが工学系なわけで、僕の場合は、初年度最初の実験授業が「水質汚染の度合い測定」でした。まるで、市役所に就職した際に役立つ、地域の水質を調べる技術を身につけさせよう。と言われているような、およそ最高学府の授業のイメージとはだいぶ異なるものでした。
つまり、授業料が安い=訓練用の器具が揃っており、新しく買い足す必要が少ない学校。と言うわけです。
そして僕の場合は卒業研究も、先生の研究用分子の合成で、反応熱が計算通りになるか、の試験材料を合成して、合成職人の訓練をしていたようなものでした
その後就職して「これ合成して」と言われた当時黎明期にあった有機ELの正孔輸送材料の合成反応が、卒業研究で毎日合成していた反応と同類の(ヘテロ環芳香族の置換反応)で、「え、コレ合成して給料もらえるの?」と、後年驚くことになることは、学生時代には知るよしもありませんでした。

4. ネットレビューではくそリプについてコメントしづらい。

さて、この小説の主題の一つは、加害者、被害者以外の人=事件がニュースになった時に、無責任に被害者を非難するリプの嵐を巻き起こした人にあります。
僕は、レビューでスルーしました。amazonの他のレビューの人も、あまり言及していません。
僕の場合は
「読んで良かった。他の人にも読んでもらいたい。」
が、読書感想文を書く上での基本方針で、この本についても同じです。
ですので下手に「くそリプダメじゃん」に言及すると、
自分を棚に上げて、他のネット民を非難する、嫌な感じの読書感想文になるような気がして、
うまい表現方法が見つからない限りはスルーすることにしました。
 
読めば「くそリプはだめよ。」と納得でき、自分はやるまい。と心構えを持てるし、
くそリプは無責任なものだ。と逆の立場でも「気にする必要が無い。」と解ります。
そういえば、大炎上も、ジツは積極的にコメントしているのが二人、とか三人だったりするらしいですね。
ただ、ネットに接する機会の少ない周囲の人が
「炎上したんだって?」
「非難されてるね。」
とやけどに唐辛子を塗るように接して来るのが、ホントは最も止めて欲しいことだったりするんだけれど、これはどうにもならんだろうな。と思います。
ならば、ネット民たるもの、困っている人がいたら周囲の無知なものに予防線を張るよう、注意深く援護するべし。と心得ておくのが吉でしょうか。

5. 量刑は難しい。

戦前にも、民間人を陪審員に加える制度が施行されたことがあったそうです。
と、何かの本で読んだ覚えがあります。
(昭和三年~一八年までの15年刊で484件裁かれたそうです。)
ところが、始めてみれば民間人が軒並み「有罪」「厳罰」を乱発し、
とか
「若いから更生する見込みがある」
などの考慮がなされず、
民間人の参加が取りやめになった後、今まで復活せずに至った、
と僕が読んだ記事では解説されていました。
凶悪な事件をニュースで読むと「死刑だ!」などと心でつぶやく自分に気付くことがあります。しかしながら、実際に自分が裁判官ならば、そんな判決は言えないわけです。
ちゃんと程度に応じて量刑を決めなければ勤まらない。と理解出来ます。
さて、この小説では(示談すれば不起訴は親告罪だからと言う以外にも、よくとられる措置のようですが)判決はいずれも執行猶予付き。これが、軽いのか、重たいのか、海外と比べてどうなのか。などなど。僕には全く解りません。
いずれにしろ、履歴書を書くときに「賞罰」の欄には書かなければならないわけで、
書くのをはばかれば、内緒にして就職。ばれればクビ。と、過ごすことになるのだろうな。と思います。

6. 彼を雇うとして、

よくある勘違いが「性格は悪いが、頭が良いので、仕事は任せられるだろう」です。
頭は良いかもしれませんが、性格の悪さが高じて犯罪者となったことに留意すべきです。仕事を任せて、放っておくと、ろくでもないことになります。
また、人に接した犯罪なので、人と一緒に仕事をさせる際には要注意です。
なるべくなら、一人で完結する仕事をさせるべきです。伝票書きなども、事務の人に代行させるのではなく、本人に書かせて、上司に責任をもって確認させる程度には徹底して一人で仕事をさせるのが良いです。
周囲の人間が(理由がどうあれ)2、3人辞めたら、彼を異動させて様子を見るべきだと思います。
良くないのは「彼は頭が良い」と言うことにして、仕事内容の吟味を怠ることです。
特に失敗があったときに、どう振る舞うかに注視しましょう。
客観的に原因を洗い出し、自分のやったことの中から、「ここが、まずかった。」「次回はこうしたい」等と言うのであれば、だいぶ成長したと言えると思いますが、
たぶん彼らは自分の失敗として報告しないです。頭が良いので、その言い訳も的を射て「仕方が無かった。」「どうしようもなかった。」「逆にチャンス到来です。」「他の人の失敗に影響されたけれど、なんとかなります。」など、巧妙に自分の責任を逃れた言い訳をします。
”失敗の原因を部下の不手際として説明する管理職を信用するな”と経営者の人はお勉強されていると思いますが、この小説での加害者のように、全能感を持っていて自己嫌悪を経験したことのない人間の場合は、若いうちから、失敗を上手に他人起因として体裁を整えて、失敗を避けて通ります。これらを許していると、あなたの会社はブラック企業です。他の従業員の生活や家庭のためにも、是非ともこの小説の加害者のたぐいを雇うときには、一人で仕事を完結させるように注意し、監督責任を上司に命じて欲しいです。
ブラック企業って、経営者がブラックな場合もあるだろうけれど、多くは中間管理職や職場の「できる」とされている人の身勝手を放置(又は利用)しているケースが多いように思いますぜ。
 
考えることが多岐にわたる小説でしたが、最後に一言付け加えるならば、
読む前に思った
「本来、男にとっても、女にとっても、性は生きる基本的な喜びのはずだけどどうかしら?」
が、ちゃんと本来の喜びとして描かれているところが、この小説の素晴らしいところだ。と付け加えて、一旦この小説についての、感想文(というよりは、読んだことを口実に普段から思っていることを書くことを)終わりにします。
 
それでは、秋の行楽日和。台風の合間を縫って、愉快に過ごしましょうぞ。(^.^)/~~~