daniel-yangのブログ

メインブログ「受動態」(読書感想文ブログ)とは異なる内容を気まぐれで記します。

映画「蜜蜂と遠雷」観ました5

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July 4th, 2008 from platform of Haijima stationof JR Ohme line Fussa city, Tokyo.Met.
photo by Daniel Yang CASIO EX-Z3 35mm 1/1 sec, f/2.6
の続きです。先週の土曜日に観た映画の感想を6つのポイントで述べています。今日は5つめと6つめ。

5. 音楽が素晴らしい。

コンクールの演奏では、
・ 「春と修羅」を実際に耳にし、四人(+二人)のカデンツァが聴けた\(^O^)/
・ 音的にはフィナーレのプロコン3。
コンクール外の演奏では、
・ 亜夜と塵が弾くドビュッシー「月の光」からのアドリブセッション。
・ 幼い亜夜が母親と雨音を捕まえて音楽にするショパン「雨だれ」からのアドリブセッション。
以上、四つが印象深かったです。
これから、映画を観る人は、楽しみにして下さりませ。
 
音響に気合いが入った劇場で観れば、もっと凄かろうと思います。(僕が観た劇場は2チャンネル(普通のステレオ)だったような気がします。と、言うわけで香川県の映画館に行こうかな。と思ってるところ。台風来るけれど。
ピアニストを演じた皆さん、不自然なところがなく、音楽を楽しむことができました。

6. 最後まで緊張感がある映画としての完成度の高さ。

マサルとオケとが演奏上の問題を解決していく過程
・ 亜夜を「お帰りなさい」と風間塵が迎えるまで
単に「良い人」の映画にならず、さりとて安直な悪者も生み出さず。映画の構成上たいへんな効果があったと思います。
 
緊張感ではない、ハイライトは、栄伝亜夜の子ども時代のシーンだろうと思います。
映画を見終えて、余韻に浸りながら、思い起こすと
「本当の天才は栄伝亜夜なのだな。」
と感慨深いものがあります。
小説は、主に亜夜視点で書かれているので、亜夜自身の事は、想像力を発揮し、念じて考える必用があります。ぼんやり読むと、塵が主人公だし、マサルが最も優れた演奏をするようだし。
 
主人公の四人が、それぞれ助け合ったり、影響を与えながらフィナーレを迎えるのですが、映画を観て五日目の今日は「栄伝亜夜が主人公であり、最も音楽の神様に祝福されているよな。」と思いました。
僕の感想に偏っているとは思いますが。

全体を通して

全体を通しては、松坂桃李が演じた高島明石の心境の変化をなぞりながら物語を楽しみました。
塵とマサルの素晴らしい演奏を認め、評価する栄伝亜夜。彼女が、しかし、自分の天賦の才を認めないありさまを観ながら、静観する距離の取り方が大人で素晴らしかった。

春と修羅

第二次予選の課題曲。
コンクールで唯一のオリジナル曲。現代作曲家の菱沼忠明がこのコンクールのために作曲しました。作曲者本人が(初演だから、当たり前なんですが)予選会場で客席から聞いています。映画では光石研が演じています。
審査員の一人ナサニエル・シルヴァーバーグ(演アンジェイ・ヒラ)との雑談がユーモアがあって面白かったです。
 
宮沢賢治春と修羅」の「永訣の朝」(あめゆじゅとてちてけんじゃ)は、
詩集「春と修羅」第一集の「無声慟哭」の第一編です。
詩集「春と修羅」には表題と同じサブタイトルの「春と修羅」もあるので「ないっ!」と慌てないように。
青空文庫にリンクします。

www.aozora.gr.jp

目次を開いて、
>無声慟哭
 >永訣の朝
の順に開いて読めます。

全般的に難解な詩集ですが「永訣の朝」は読みやすいです
ちなみに、僕の解釈は
「雨、雪、とってきて、賢治兄」
です。「賢治兄」を縮めて「賢者」と同じ発音にした、兄妹間の親しみを込めた呼び名。>僕の解釈です。映画では、別の訳で解説されます。
ちなみに、僕は三冊持っています。
角川文庫クラシックスの「新編宮沢賢治詩集」中村稔編
新編 宮沢賢治詩集 (角川文庫)

新編 宮沢賢治詩集 (角川文庫)

 
新編 宮沢賢治詩集 (新潮文庫)

新編 宮沢賢治詩集 (新潮文庫)

 
ちくま文庫宮沢賢治全集の<1>
宮沢賢治全集〈1〉 (ちくま文庫)

宮沢賢治全集〈1〉 (ちくま文庫)

 
日本人の共通了解と言っても良い宮沢賢治作品の、特に重要な要素です。
生前出版された本は、この詩集「春と修羅」と童話集の「注文の多い料理店」だけらしいし。
どれか一冊ご自宅に置いとくのも良いのでは?(僕みたいにありったけ買っとくのは、どうか、と思いますが。)
 
それでは、また逢う日まで(^.^)/~~~