daniel-yangのブログ

メインブログ「受動態」(読書感想文ブログ)とは異なる内容を気まぐれで記します。

「トラベシア」第6号「いしあいひでひこのやさしい人生」を読みました5

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月と鉄塔'21/7/17 15:41 埼玉県坂戸市 PENTAX K-S1 DA L55-300 ISO: 200, f/11.0, 1/400s, 460mm相当
の続き。
を読んでいます。
本日は
p38~p39
鼎談[ていだん]
女も男も生きやすい社会をつくるには
大九明子×草野なつか×いしあいひでひこ
構成:鈴木並木
を読みました。(既に全部読んでいるんだけれど、ツイッターで御本家様にリツイートされたので、書きやすいところから書こうと思って(^_^;))
 
大九明子は映画監督。
ツイッターはこちら↓

そういえば

eiga.com

公開時にいしあいさんが、しきりにツイートしてたのが記憶にあります。

僕は原作を読んでいて、感想を同じくはてなのメインブログ「受動態」(このdaniel-yangのブログはサブ)に書いています。

daniel-yang.hatenablog.com

 

草野なつかも映画監督。

この映画で監督デビューした人
 
つまり、いしあいさんの趣味の本領であるところの映画に舞台を遷し、
「映画監督と鼎談したらどうなるのか?」
という実験企画(※)です。
(※)実験と言えば「一般人を特集して一冊にする」という「トラベシア」いしあい号自体が実験です。
 
実験の結果は、読めばわかります(^_^)
(冒頭に、当雑誌主催の鈴木並木氏の主旨説明を差し挟む必用が生じました。)
 
ただし、実験の意図(いしあいひでひこをフィーチャーする)からは外れてしまいましたが、鼎談自体は成功していると思います。
ベテランの監督、新人の監督、それぞれがお仕事に取り組む心構え、取り巻く社会状況などのお話が聞けて、タイヘン興味深い内容になっています。
(そういう意味では、冒頭のロング・インタビューで、佐藤麻弥が徹した役回りに、この鼎談ではいしあい氏が立った。と言えると思います。女性の映画スタッフについての状況説明を大九監督から引き出しているあたりなど。いしあいさんの鼎談での質問は、企画意図では自爆(実情をよく知らない)なのだが、映画ファンからすれば「そうなんだ。俺は聞けないけれど、いしあいさんが聞いてくれて良かった。」と思うはずです。
 
エジソンは「実験には失敗というものはない。」と言ったそうです。
うまくいかなかった実験は
「一つのうまくいかない方法を知見として得られた、ということだ」
と述べたそうです。
この雑誌における実験(8ページにわたる鼎談)から得られた知見はすごく多いと思います。
「一般人が趣味の対象の作者と直接お話しをするとどうなるのかという知見」
このあとp52~55では、映画と同様にいしあいさんが愛する文芸分野での企画もあります。直木賞作家の姫野カオルコとの往復書簡。しかしながら、こちらは、実験的な要素は少ないです。それは、従前から二人がコミュニケーションを取る機会があり、いしあいさんについての情報を持っている(だにえるやんの推測です)なので。
映画監督お二人は、従前にいしあいさんと個人的なコミュニケーションを取ったことはなく、初対面だった(だにえるやんの推測です)ご様子です。
 
話が長くなるので、かいつまんで僕の推測を申し上げます。
 
著作者本人とのいしあいさん(のような、趣味のお話しがおもしろい方)の対談は、
対談自体は、おもしろいコンテンツにはならないかもしれない。
だけれど、今後のいしあいさん(のような、趣味のお話しがおもしろい方)のパワーアップにはなる。
と言うことだと思います。
 
全部わたし(だにえる・やん)の推測なのですが、
著作者との直接会話では、コンテンツにならないお話しが、おもしろいのだと思います。
たとえば、著作者本人に聞ける機会でなければ、得られない以下のような事柄です。
・ 不自然な箇所の意図
「あのシーンが不自然に思えたのですが、どういう意図ですか?」ってツイートしたらタダのくそリプでしょ?
・ 無関係なエピソードの挿入理由
「唐突に挟まれる前世の断末魔は不要に思えるのですがどうして撮ったのですか?」ってブログに書けないでしょ?
・ NGを出した方が良かったと思われるシーンが本編に組み入れられている理由
「役者がセリフを間違えているように思うのですが、撮り直しをしなかったのはなぜですか?」ってブログに書いたら、単にディスっている、と受け取られますよね?
など、著作物に対する理解の進捗があると思われます。
上記のような点については、一部鼎談で語られていますが。
以下の点も。
・ 雇ったスタッフへの不満や、優秀なスタッフへ依存している点など
これは、鼎談で、大九監督が状況説明として、類似の内容を(これとは異なる意図で)披露されています。
大九監督は、この鼎談で、サービス精神を発揮してくれているな。と気がつきました。
・ 同業の別監督の作品についての見解
「今、ヒットしている中高生向けのあの作品ってリアリティーありませんよね?監督は、少し社会性が欠如していますよね。」
と聞いて、たとえ鼎談の監督が「そうだよね。ダメだよね。あんなの。」と言ったとしても、それは記事にはならない(だにえるやんの妄想です)
 
その他には
自分のツイートネタ候補についての著作者本人の意向伺いなど。
「これって、×○の暗喩ですよね?」と聞いて「それは、観客が自分で気がつくことだから、ツイートしないでね。」というような類い。
ファンの発言のうち、本人が不愉快に思っていることや、嬉しいことがどんなことなのかを教えてもらうとか。
 
以上は、僕がオフ会で、ヘビーな他のファンに教えてもらったり、アドバイスをもらったりしてありがたかった経験からの推測です。
作品の掲示板でのマナーとして、別の監督作品や、関係ない話題は控えますよね。
普段、それぞれがブログなりツイートなりでフォロワーや読者に受けている人の経験値は、そのツイートでは計り知れない。
狭く、深くではなく、広く深いという驚きから、当エントリーでは妄想を膨らませました。
 
蛇足として、もっと妄想を語るならば
 
もしや、記事として8ページに掲載されている鼎談の内容とは別に、いしあいさん、監督二人、構成:鈴木さんの四人で、とても深く、興味深い時間を過ごしたのかも。と邪推するものでもあります。
 
と、言うわけでいしあいさんを売り出す(たとえばトークショーを催す)際の手法として、僕にも提案できる内容がまとまりました。
後日別の感想文で申し上げます。
以上です。